NEWS & TOPICS

2024/08/06

なぜドイツは「朝からビールを飲む」のか?2つの理由とは?

なぜドイツは「朝からビールを飲む」のか?2つの理由とは?

突然ですが、朝からビールを楽しんだことはありますか?

太陽の光を感じながら、世の中の動きに逆行するような、背徳さたるや。夜とは違う美味しさがここには確実にある……!

と思っていたのですが、どうやらビールの本場ドイツでは「朝からビールを飲む文化」が昔からあるらしい。(しかも銀河高原ビールと同じビアスタイル「ヴァイツェン」は、ドイツで「朝食用ビール」という別名も)

ということで、ドイツ文化に詳しい、ドイツ観光局・広報大畑悟さんに「ドイツは朝からビールを飲むのか」をメインにお話を伺いました。

 

大畑悟さん(ドイツ観光局日本事務所広報マネージャー)
グリム童話的風景、特に魔女の城を彷彿とさせる幻想風景を求めてドイツ各地を旅したSNSアカウントが大人気。この日はドイツの伝統衣装風の格好でお話をしてくれました。

(ドイツの伝統的なババリアンハット。大きな羽根が付いているのは貴重なのだとか)

 

【ドイツが朝からビールを飲む理由は大きく2つ】

お話を伺って見えたのは、ドイツ全域ではなくバイエルン州のごく一部にある文化でした。

朝ビールのきっかけは、「ソーセージ」と「ビールの持つ歴史的背景」が、要因となっていること。

①ビールの相棒「白ソーセージ」が午前中までしか食べられない

「ソーセージは教会の正午の鐘を聞くことを許されない」といわれるバイエルン州の首都ミュンヘンの名物「白ソーセージ」は、傷みやすいため午前中に食べる風習があります。これにブレーツェル、ビールの3点セットがバイエルン伝統の朝ご飯なんだとか。

②ビール=飲むパン

ドイツでは、パンの長期保存が難しい一方で、ビールは保存が効くため、非常時の保存食として重宝されていました。そのため、中近世のドイツ、特に朝から肉体労働をする農家などでは、「飲むパン」として、朝からパンの代わりにビールを飲むというのも珍しくなかったのです。


そういった食習慣の名残が、ドイツの朝ビール文化を培った要因のひとつだったのです。

大畑さんによれば、「パンがなければビールを飲めばいいのに……」というマリー・アントワネット風の前近代社会の習慣だったのです。

ちなみに、ミュンヘンは当時貴重だった小麦がよく育つ豊かな土壌環境。そのため、大麦ではなく小麦でビールを作ることも多く、小麦が使われたビールは「貴族のビール」と呼ばれることもありました。(銀河高原ビールも小麦を使ったヴァイツェンです)

【知ってた?ビールをつくるのは修道院】

ドイツは11世紀ごろから修道院でビール醸造が始まり、現在でも続いています。

(ヴェルテンブルク修道院)

日曜のミサのあとに飲むのはもちろん、修道士たちも飲みます。ちなみに「赤ワインがキリストの血、パンがキリストの肉」という、カトリックの考えもあり、飲むパンであるビールも神聖な存在でした。肉を食べてはいけない断食期間でもビールは飲んでよかったのです。

【ドイツは地下にビアガーデンがある⁉】

(昔使われていた地下にあるビール置き場)

ドイツのビールを飲むお店は地下にお店が広がっていることがあります。

これは冷蔵機械がなかった当時、ビールの貯蔵のために「ケラー」という地下貯蔵庫を使っていました。夏でも涼しく樽からビールを出して飲むだけじゃなく、料理を楽しめる場所なども登場し、地下のビアガーデンとして発展。現地では、「ケラーへ行く」=「ビールを飲みに行く」を指しています。

© DZT/Bavaria wundervisuals

 

実際にケラーで飲んだ銀河高原ビールスタッフ曰く「ケラー自体は窓は無く暗くて少しトンネルのような空気を感じる」とのことでした。

【朝から銀河高原ビールを飲んだ感想は…?】

「スッキリしていて暑い日にちょうどいいですね。さわやかな味わいのヴァイツェンビールなので、料理ともよく合いそう。フラムクーヘン(ドイツ風ピザ)やポテトとも相性がいいですが、私は大好きな寿司に合わせたいですね!」

と話してくれました。

ということで、ビールの本場ドイツのビール文化をたっぷり教えてもらえました! 大畑さんのSNSやご協力いただいたドイツ観光局のSNSもチェック。ドイツの魅力を深くユニークに体験できますよ!

日本では珍しい朝から飲む美味しさ。もしかしたら朝からヴァイツェン(銀河高原ビール)を飲むだけで、「本格ドイツ体験」と言えるのかも?

よかったら休日などにゆっくり朝から飲んでみてくださいね🍺

大畑悟:ドイツ観光局広報マネージャー。
東京大学大学院博士課程単位取得満期退学(専門はドイツ歴史学)。
2010年よりドイツ観光局に着任し、オンラインマーケティング、プレス取材支援、ソーシャルメディアを担当。その傍ら、ドイツ観光の歴史を研究し、主要論文は「ロマンチック街道の誕生」『観光研究』26-2、2015年。Xアカウント「ドイツ幻想風景」で、ドイツ旅行時のグリム童話的風景を定期的に発信(X@SatoruOHATA)。

📍撮影協力:スタンド ティー(STAND T)- 東京/ビアバー

More

Close